こんにちは味噌人です。
今回は前回の記事『将棋大賞とは?~各賞の概要、発表日、選考基準を知る~』で紹介した、将棋界の一大イベント『将棋大賞』の各賞受賞者を徹底予想したいと思います。
今年度は昨今の将棋界の情勢を表すように各賞の候補とも甲乙つけがたく混戦模様ですが、是非ご覧ください!
個人賞(選考)
最優秀棋士賞
豊島二冠と渡辺二冠の一騎打ちの様相を呈している最優秀棋士賞。
総合的に抜けた実績を残した2人の内どちらかが選ばれるのは確実でしょう。
2人の主な実績を簡単に比較すると
【タイトル戦】
〇豊島二冠(王位奪取、棋聖奪取)+名人挑戦
渡辺二冠(王将防衛、棋王防衛)+王座挑決、叡王戦ベスト4
【他棋戦】
豊島二冠:銀河戦ベスト4
〇渡辺二冠:JT杯優勝、朝日杯準優勝
【対局数】
〇豊島二冠:55(3位)
渡辺二冠:50
【勝数】
豊島二冠:35
〇渡辺二冠:39
【勝率】
豊島二冠:0.648
〇渡辺二冠:0.796(2位)
【連勝】
豊島二冠:5
〇渡辺二冠:15(1位:連勝賞確定)
このような形で主要な要素を抜き出すと渡辺二冠が4勝2敗とやや有利ですが、豊島二冠には名人挑戦の大看板があり、予想を難しくしています。
個人的には『名人挑戦』と『JT杯優勝+連勝賞』が相殺され、タイトル戦の内容や総合成績の有利さで渡辺二冠有利と結論付けたいです…。
しかし、ここに上記の表には一番重要な要素が抜けています。
そう、渡辺二冠は既に受賞済なんですよね…。
皆さんも想像がつくようにこういった賞レースでは初受賞というのが非常に大きな意味を持ちます。
野球の澤村賞やMVPでも初受賞が大きく優先され物議をかもすことがありますが、今年はどちらが受賞しても文句のない好成績であり、初受賞である豊島二冠が優先されるでしょう。
以上の理由から最優秀棋士賞は
◎豊島将之二冠
と予想します!
優秀棋士賞
これは上記の理由で豊島二冠の最優秀棋士賞がほぼ確定している以上、渡辺明二冠が有力…かと思いますが、個人的にはそれ以外の可能性も考慮したいと思います。
優秀棋士賞は直近では2011年度、2006年度と2名選出されている前例があり、今回も2名選出なのでは?という可能性です。
優秀棋士賞が渡辺二冠単独受賞となった場合、敢闘賞は広瀬竜王が濃厚ですが、序列第一位の広瀬竜王が奮闘に敬意を表するといった意味合いが強い敢闘賞で良いのか?という問題があります。
佐藤天彦名人は名人のみで最優秀棋士賞を取ってますし、流石に敢闘賞では広瀬竜王の立場がないでしょう。
以上の理由から優秀棋士賞は
◎渡辺明二冠&広瀬竜王
と予想します!
敢闘賞
こちらは残りのタイトルホルダー2名『斎藤王座』と『高見叡王』に『藤井聡太七段』が絡んでの勝負かと思われます。
優秀棋士賞が渡辺二冠の単独受賞だった場合は広瀬竜王で確定なんですが、あくまでダブル受賞前提で予想していきます。
また佐藤天彦名人も広瀬竜王同様に『名人3連覇中の棋士に敢闘賞はあり得ない』という観点から除外しています。
3人の成績を比較すると
【タイトル戦や一般棋戦での活躍】
高見叡王≒斎藤王座>>>藤井朝日杯
【勝数、勝率、対局数、連勝】
藤井聡太七段>斎藤王座>高見叡王
こうなります。
総合的に見て斎藤王座がバランスよく活躍している印象です。
特にタイトル戦等での活躍となった場合、タイトルと一般棋戦は天と地ほどの差があるので、藤井七段がその他の点で大きく差をつける必要がありますが、藤井七段は今年勝率賞のみ受賞ということもあり、3者の活躍にそこまでの差はありません。
元からB1の斎藤王座と、C1の藤井七段、C2の高見叡王では戦っている相手も違いますから純粋な比較も難しいところです。
藤井七段が中原誠名人の年度最高勝率を更新していた場合かなり違ったとは思いますが、そうなると敢闘賞ではなく特別賞が相応しいでしょうしね。
以上の理由から敢闘賞は
◎斎藤慎太郎王座
と予想します。
新人賞
一番の混戦が予想されるのが新人賞です。
新人賞の大まかな傾向は以下の通り。
- 2度目の受賞は過去にない(藤井聡太七段は昨年度受賞)
- タイトルホルダーの受賞は可能(郷田王将の例あり)
- タイトル挑戦や棋戦優勝者が有力候補
- タイトル挑戦や棋戦優勝がない受賞者の多数
対象者がタイトル挑戦や棋戦優勝者に限定されないため、非常に予想が難しいのですが、おおまかに対象をあげてみると
- 高見叡王:タイトル獲得
- 大橋四段:YAMADAチャレンジ杯優勝、加古川青流戦優勝
- 近藤五段:B級2組昇級
- 佐々木大地四段:最多勝利賞
この4名が有力候補となると思われます。
高見叡王の実績が圧倒的です。
大橋四段は2つの棋戦を優勝していますが、若手限定の棋戦であり、また一番歴史と格が高い新人王戦を取りのがしているのが泣き所です。
近藤五段は22歳でB級2組昇級という実績が輝いていますが、ほかの候補と比べると「優勝」や「1位」という分かりやすさがないのがネックですね。
佐々木大地四段は成績四部門全てで上位にランクインし、かつ最多勝利賞ですが、C級2組であり対戦相手が緩いという点をどう判断されるかが懸念されます。
また、選考委員による選出であるため印象として新人賞に相応しいか?ということも重要な要素ではないでしょうか。
上の4人をプロ入り後の年数、年齢で並べてみると
【プロ入り後の年数】
高見叡王(2011年)>近藤誠也(2015年)大橋四段(2016年)>佐々木大地(2016年)
【年齢】
大橋四段(26歳)>高見叡王(25歳)>佐々木大地(23歳)>近藤誠也(22歳)
このように高見叡王の新人感は他の候補と比べかなり弱いと思われます。
また大橋四段もプロ入りが遅かったため、年齢が高いのがネックになりそうです。
以上それぞれの候補の有利点、不利点を見てきましたが、どの観点を重視するかでかなり結果は変わりそうですね。
それら諸事情を考慮した上で、新人賞は
◎高見泰地叡王
△近藤誠也五段
と予想します。
確かにプロ入り後の年数が長く新人感は薄いですが、年齢的に見れば他の候補と同年代であし、最後には実績が物を言うと判断しました。
まとめ
最優秀棋士賞:豊島将之二冠
優秀棋士賞:広瀬章人竜王、渡辺明二冠
敢闘賞:斎藤慎太郎王座
新人賞:高見泰地叡王
これが予想結果となります。
当たりましたらお誉めのコメント頂けますと嬉しいです!!
残りの受賞者については次回の記事で予想しますので、ご覧頂けましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました、コメントなど頂けましたら幸いです。
それでは次の記事『【藤井聡太七段受賞なるか?】2018年度将棋大賞徹底予想②~名局賞、升田幸三賞など~』でお会いしましょう!