こんにちは味噌人です。
今日は将棋棋士にとっての『給料』ともいえる順位戦毎の年収について書いていきたいと思います!!
将棋に関する賞金や対局料などはブラックボックスな点が多いですが、順位戦による収入の違いは比較的多くの棋士から情報が開示されてます。
様々な根拠を元に推計値を割り出していますので、是非ご覧ください。
※本記事のなかに出てくる情報は2019年9月16日現在のものです。
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将棋棋士の給料とは?~参稼報償金による固定給~
日本将棋連盟がまだ社団法人で2011年より前、将棋棋士は日本将棋連盟の社員に準ずる立場であり、社会保険に加入し、月毎に給料が支払われていました。
2011年4月より公益社団法人日本将棋連盟となったことで棋士は事実上個人事業主となり、社会保険も国民保険となるなど将棋連盟の社員という立場ではなくなりましたが、月毎の給料は『参稼報償金』という形で以前と同じく支払われています。
これが棋士にとっての固定給(給料)といえるものです。
この固定給に順位戦以外の各棋戦で稼いだ賞金・対局料を足したものが棋士の年収になります。
固定給は順位戦の対局料の代わりに、主に名人戦の契約金から毎月同額支払われる金額で、クラスによってその金額は大きく違います。
金額の違いは頂点となる名人からA級~C級2組まで、1クラス落ちるごとに7割程度になっていくと言われており、この他の棋戦の活躍度も加味されるようです。
名人・A級など各クラスの固定給はいくらか
固定給は名人を頂点として、1クラス落ちるごとに7割程度になる言われています。
その頂点である名人の固定給は『名人手当』と呼ばれており、月額100万円、年間で1200万円程度と言われています。
これを基に単純に各クラスに7掛けしていいくと
- 名人(1名):月100万円、年1200万円
- A級(10名):月70万円、年840万円
- B級1組(13名):月50万円、年600万円
- B級2組(25名):月35万円、年420万円
- C級1組(36名):月24万円、年288万円
- C級2組(52名):月17万円、年204万円
- フリークラス:月12万円、年144万円
名人の名人手当は複数の記事で月100万円と書かれていることからほぼ間違いないため、1クラス落ちるごとに7割くらいという言葉を額面通り反映させるとこちらの金額となります。
こちらの金額も各情報を総合するとそこまで的外れではなさそうですが、より確実な情報を基に修正する必要があります。
田丸昇九段の給与明細による修正
『さまぁ~ずの神ギ問』という番組の2018年4月21日放送回において『囲碁と将棋のプロの収入』が取り上げられ、田丸昇九段が給与明細を公開してくれました!!
その内容は
- 2003年:B級2組在籍時=月310,900円
- 2008年:C級2組在籍時=月226,000円
- 2015年:フリークラス=月94,900円
というもの。
まさに明細をそのまま開示しており、とても有益な情報なんですが、2011年より前の金額は社団法人時代のものであり、基本手当と示されているため現行の制度とは乖離がありそうです…社団法人時代は年2回ボーナスに準ずるものもあったそうですし、ややこしいい((+_+))
しかも、この番組では
- A級:月60万円程
とも紹介されており、余計に判断に迷うところです。
田丸昇九段反映モデル
- 名人(1名):月100万円、年1200万円
- A級(10名):月60万円、年720万円
- B級1組(13名):月42万円、年504万円
- B級2組(25名):月31万円、年372万円
- C級1組(36名):月24万円、年288万円
- C級2組(52名):月22.6万円、年271万円
- フリークラス:月9.5万円、年114万円
A級、B級2組、C級2組、フリークラスの月額を修正するとこんな感じです。
C級1組とC級2組の金額が近すぎるので、少し実態と離れてそうですが、明確な証拠に基づくとこちらのほうが前述より正しいようです((+_+))
年間賞金ランキングから考察する固定給
最後におまけとはなりますが、年間賞金ランキングの順位や金額から上記の固定給がどれほどの正確性を持っているか推測してみます。
【事例1】2018年ランキング(対象は2017年次)
高見泰地叡王(当時):C級2組在籍
- 賞金・対局料:522万円
- 獲得額順位:63位
- 対局数:53局
- 勝利数:36勝
ここで注目すべきは2017年次の賞金・対局料が『522万円』なのに対し、獲得額の順位が63位という部分。
A級~B級2組の人数は約50名。
最初に示したモデルではB級2組の基本給が420万円となっているので、その他年100万円未満(棋士の1局の対局料が5万円未満になってしまうので)という事は考えにくく、50名は自動的にB級2組以上で枠が埋まると考えると、C級1組とC級2組から13名しか522万円超えていない事になるんですよね…。
2017年次の高見先生の活躍は若手棋士としては優秀ではありますが、それを超える実績を残した若手棋士も多い状況。
こう考えるとB級2組の棋士で522万円以下がベテランを中心に複数いたと考える方が自然なため、B級2組の固定給は田丸先生のモデルに近いと思われます。
B級2組が年370万円だと考えると対局数が少なく、活躍も少ない棋士は522万円届かない可能性もありえますしね…しかし、そうなるとA級やB級1組の固定給が少ないという問題も出てきます…この辺りの推測は本当に難しいです。
年収1000万円を超える棋士の割合は
最後におまけのおまけですが、棋士のなかで『賞金・対局料』のみで1千万を超える人数はどれほどでしょうか??
こちらも賞金ランキングから見ると
【2016年の1000万円超】約25名
※松尾歩八段が1067万円で23位、菅井竜也七段が958万円で27位
【2015年の1000万円超】約25名
※丸山忠久九段が1106万円で23位
【2014年の1000万円超】約20名
※佐藤天彦九段が966万円で21位
【2013年の1000万円超】約20名
※木村一基九段が1037万円で19位
こう見てみると年々年収は増加傾向にありそうですね(多分叡王戦の影響)
棋士の数は約160名ですから現在は
棋士の約15%程度は『賞金・対局料』のみで1千万を超える収入がある
といえそうです!!
まとめ
- 棋士には月額の固定給が支払われている
- 固定給は主に順位戦のより変動する
- 金額は名人の1200万円からクラスが下がるごとに7割程度となる
- 賞金・対局料のみで年収1000万円を超える棋士は全体の15%程度
このようなところでしょうか?
これから最新情報を収集次第、随時更新するので、皆様も情報をお持ちでしたら提供いただけると助かります!!
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