こんにちは味噌人です。
前回は「将棋の段位とは~昇段の条件、藤井聡太七段の例~」というテーマについて紹介しました。
今回は「将棋の段位とは~段位別人数構成、段位と強さとの関係~」というテーマで書いていきたいと思います。
段位が高くなるほど人数が少なくなるのか
前回のブログでは将棋棋士の昇段条件についてまとめました。
タイトル戦・一般棋戦での活躍や順位戦・竜王戦での昇級、また勝ち星を積み重ねることでしか昇段できないという仕組みからは、年功序列など存在しない勝負の世界の厳しさを感じ取っていただけたかと思います。
しかし、昇段の仕組みを知ると、次に素朴な疑問として段位毎に何人棋士がいるのか気になるかと思います。
例えば会社では社長を頂点として役員、管理職、一般社員と下に行く毎に人数が増えるピラミッド構造となりますが、将棋棋士も同じように九段を頂点として段位が下がることに人数が増えていくのでしょうか?
現役棋士の段位別人数
将棋棋士の段位別人数攻勢を分かりやすく図にするとこのようになります。
あれ?
四段が一番少ない??
そして、最高位であるはずの九段が思いのほか多い!!
…しかし、よくよく考えればこれは当然なんですね。
将棋界において基本的に1年で入ってくる新人棋士は4名です。
それに比べて五段への昇段条件は順位戦C級1組への昇級だけでも年3名。
その他に勝ち星昇段や竜王戦、一般棋戦での昇段があるので、新人棋士の供給が昇段に追いつかないのも当たり前です。
将棋界はプロ入り条件とその後の昇段条件から考えてピラミッド構造になりようがないわけです。
高段者が多い理由
段位別人数では七段が多く六段、九段・八段と続きますが、基本高段者が多く低段者は少ない傾向にあります。
これには2つの理由があります
- 公式戦の勝利数による昇段規定、いわゆる『勝ち星昇段』
- 『降段規定』がない
勝ち星昇段
①の『勝ち星昇段』については昔…といっても昭和の話ですが、勝ち星による昇段がなかった時代がありました。
当時の昇段は順位戦の昇級によるものが主で、順位戦のクラスが上がらなければずっと四段のままということもあり得たわけです。
しかし、それではあまりに厳しすぎるということと、お隣の囲碁界が気前よく昇段する仕組みであったため、『囲碁棋士に比べて将棋棋士は段位が低くて格が低い』と思われるのを避けるため、徐々に昇段条件が緩和されていったわけです。
降段規定がない
これは将棋界に限らず段位制度を取っているもの全般にいえることですが、段位は上がることはあっても下がることはありません。
降段規定なんてものはどこにもないのです。
アマチュアの世界でもせっかく初段を取ったのに、ちょっとサボっていたからといって段位を取りあげられたらとしたら将棋を辞める人が続出するでしょう。
また、将棋をエンターテインメントとして考えても、昔活躍していた棋士が加齢により実力が落ちたからと言って段位まで下がり、新人棋士といっしょに雑用していたとしたら、多くのファンはショックを受け将棋界を離れていくでしょう。
よって段位は上がっていく一歩になるため、基本的によほど昇段条件を厳しくしない限り高段者が増えていく宿命にあります。
段位と実力の関係性
ここまで、現役棋士の段位別人数を見てきましたが、段位は上がる一方で下がることはないということが分かりました。
そこで疑問として
というものが出てくると思います。
それに対する答えとしては
- 段位は実力ではなく実績を表している
- 段位と実力は必ずしも一致しない
と言うことが出来るかと思います。
現役タイトルホルダーを例として見てみると
- 佐藤名人:九段
- 広瀬竜王:八段
- 豊島二冠:八段
- 渡辺二冠:九段
- 高見叡王:七段
- 斎藤王座:七段
となっており、将棋界最高峰の段位である九段は6名中2名に過ぎません。
先ほどの図では、九段は28名もいるのですから、段位と実力がリンクしているのであれば、九段だらけになっていないとおかしいですね。
まとめ
- 低段者よりも高段者が多い
- 昇段規定はあっても降段規定はない
- 段位は実績を表している
- 段位と実力は必ずしも一致しない
このようなところでしょうか?
少し消化不良な結論ですね。
ここまで見てくださった方としては
と思われる方も多いのではないでしょうか?
それらについては次回の記事で取り上げる予定ですので、そちらをご覧頂けましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました、コメントなど頂けましたら幸いです。
それでは次の記事『将棋棋士の実力を知るには①~順位戦、竜王戦、レーティングの話~』でお会いしましょう!
『【藤井聡太七段の受賞なるか】将棋大賞とは?~各賞の概要、発表日、選考基準を知る~』を先に記事にしましたので、こちらも是非ご覧ください。