こんにちは味噌人です。
今回は藤井聡太七段の活躍で一般的にも非常に高い知名度を誇っている『詰将棋解答選手権』について解説していきたいと思います。
詰将棋とは
詰将棋とは将棋の駒を使ったパズルのようなものです。
- 将棋と同じルールを用いて
- 攻める側が王手の連続で
- 最短の手数で詰ます
というルールがあり、正確な起源は定かでないのですが、最初は将棋の終盤戦に強くなるための練習法として広まったのではないかと言われています。
しかし、詰将棋は将棋のルールを基にしているからかパズルとしてルールや完成度が非常に高く、複雑かつ巧緻な技巧に満ちた作品が多く世に出るなかで、徐々に指し将棋とは分離した一種の芸術作品として、不動の地位を築いていきました。
一例としてあげると上記のようなものですね。
ちなみにこの問題は「4一銀→同玉→2二と金」までの相効かずもしくは「4一銀→2三玉→1四竜」での3手詰です…合ってますよね??
この詰将棋の解答能力を競うのが本日の本題『詰将棋解答選手権』です。
詰将棋解答選手権とは
概要
詰将棋解答選手権の概要は以下の通りです。
- 詰将棋の解答の正確さと速さを競う大会
- 2004年から年1回開催されている
- 2019年は第16回大会
- プロも出場する難問揃いの『チャンピオン戦』と『一般戦』『初級戦』の3部門に分かれている
元から将棋好き、詰将棋ファンの間では有名な大会で、毎年トッププロも多く出場するチャンピオン戦には大きな注目が集まっていましたが、2015年に藤井聡太七段(当時小学6年生)が優勝したことで、広く世間にも知られるようになりました。
日程
2019年の第16回大会は下記の通り開催されます。
- チャンピオン戦:3月31日(日)東京・大阪(特別に名古屋)会場
- 一般戦、初級戦:4月6日(土)全国27会場
参加者数
2018年の第15回大会は全国26会場で開催され『一般戦』が529名、『初級戦』が731名と前年の倍近い参加者がありました。
またチャンピオン戦は東京、大阪、名古屋の3会場で105名により争われました。
まさに藤井聡太フィーバーと言えます。
問題のレベル
詰将棋解答選手権は前述のように『チャンピオン戦』の他に『一般戦』や『初級戦』を設けており、プロからアマチュア有段者~初心者まで棋力に応じて楽しめるようレベル分けがされています。
それぞれどんなレベルの問題が出されたのか、昨年度の第15回大会を例に表にしました。
チャンピオン戦
制限時間90分×2 |
第1ラウンド①11手詰②13手詰③21手詰④29手詰⑤37手詰
第2ラウンド⑥11手詰⑦15手詰⑧19手詰⑨21手詰⑩37手詰 |
一般戦 40分 | ①5手詰②7手詰③9手詰④11手詰⑤13手詰⑥15手詰 |
初級戦 40分 | ①1手詰②3手詰③3手詰④3手詰⑤5手詰⑥5手詰 |
『チャンピオン戦』はトップアマからプロ向けの難易度
2桁手数の詰将棋を解ければ有段者と言われたりもしますが、11手詰でも問題の難易度が桁違いで、当然ながらアマ初段の私では何分考えても一問も解けませんでした。
『一般戦』はアマ有段者から高段者向けの難易度
私は家で試してみたところ制限時間内に①、②、③まで正解することが出来ました。
④以降は一問1時間以上かかりそうです((+_+))
『初級戦』はアマ初心者から級位者向けの難易度
となめてかかりましたが、意外に難しく、6問全て正解することは出来ましたが制限時間結構ギリギリまでかかりました。
歴代優勝者・成績上位者
開催 | 優勝 | 2位 | 3位 | |
---|---|---|---|---|
第1回 | 宮田敦史四段 | 東野徹男アマ | 上野裕和四段 | |
第2回 | 宮田敦史五段 | 柳田明アマ | 神谷崇アマ | |
第3回 | 宮田敦史五段 | 篠田正人アマ | 上野裕和四段 | |
第4回 | 北浜健介七段 | 谷川浩司九段 | 広瀬章人五段 | |
第5回 | 宮田敦史五段 | 黒川智記4級 | 北浜健介七段 | |
第6回 | 宮田敦史五段 | 広瀬章人五段 | 斎藤慎太郎三段 | |
第7回 | 船江恒平三段 | 井上徹也アマ | 広瀬章人五段 | |
第8回 |
東京 | 井上徹也アマ | 中村太地五段 | 広瀬章人王位 |
大阪 | 斎藤慎太郎三段 | 船江恒平四段 | 長谷治彦アマ | |
第9回 | 斎藤慎太郎三段 | 黒川智記初段 | 竹中健一アマ | |
第10回 | 宮田敦史六段 | 山田康平アマ | 折田翔吾三段
井上徹也アマ |
|
第11回 | 若島正アマ | 竹中健一アマ | 宮田敦史六段 | |
第12回 | 藤井聡太二段 | 山田康平アマ | 宮田敦史六段 | |
第13回 | 藤井聡太三段 | 黒川智記三段 | 若島正アマ | |
第14回 | 藤井聡太四段 | 池永天志三段 | 宮田敦史六段 | |
第15回 | 藤井聡太六段 | 宮田敦史六段 | 及川拓馬六段 |
詰将棋解答選手権にはトッププロも数多く参加していますが、歴代優勝者を見てみると指し将棋の強さと詰将棋の強さは必ずしも一致しないことが分かります。
藤井聡太七段が小学生で初優勝され「羽生九段を超える逸材か!?」と騒がれた際も「『指し将棋』と『詰将棋』の強さは別だから、詰将棋にのめり込み過ぎると伸び悩んで奨励会を抜けるのに苦労するのでは?」という意見も散見されました。
結果はご存知のとおり、藤井聡太七段は史上最年少で奨励会を突破し、そんな心配ともやっかみともつかない声は一掃されたのですが、詰将棋が強いから将棋が強いという図式は少なくともプロレベルでは成り立っていたわけではありません。
「詰将棋は意味ない」と宣言する若手有力棋士もいるくらいですしね。
むしろ、藤井聡太七段が四連覇を果たしたことで、詰将棋と指し将棋の強さの相関関係が改めて認められたとも言えます。
そういった意味でも、藤井聡太七段は将棋界のみならず詰将棋界においてもエポックメーキングな存在なんですね。さすが将棋界を背負って立つ天才棋士ですね!!
詰将棋選手権の見所
見所はなんといっても藤井聡太七段の5連覇なるか?ということでしょう。
過去4回の優勝時にもダントツの強さを見せていて、死角なしといった所でしょうか。
昨年度には、トップ棋士の一人である行方八段が大会に向けての抱負を問われ
『(藤井君は人間ではないので)僕は人間で1位を目指します』
と答えたのが印象的でしたが、詰将棋においてはプロの間ですら別格の存在となっている藤井聡太七段の五連覇に期待ですね!
また『広瀬章人竜王』や『斎藤慎太郎王座』といった現役タイトルホルダーが藤井聡太七段の牙城にどこまで迫れるかにも注目したいですね!
まとめ
- 盤上の芸術品である詰将棋の解答の正確さと速さを競う大会
- プロから初心者まで棋力に応じて楽しめるようレベル分けされている
- 例年大いに盛り上がり、参加者は1000人を超える
- チャンピオン戦にはトッププロも多数参加
- 藤井聡太七段の5連覇なるかが見所
まとめとしてはこのような所でしょうか。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
コメントなど頂けましたら幸いです。
それでは、また次の記事『【将棋界人気NO.1は誰だ?】192名による将棋人気棋士ランキング2018 トップ10』でお会いしましょう!