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将棋界初の女性棋士誕生なるか!?里見香奈女流六冠のプロ編入試験突破の可能性とは

こんにちは味噌人です。

本日は現在プロ編入試験に最も近い女流棋士である『里見香奈女流6冠』による将棋界初の女性棋士誕生の可能性について紹介していきたいと思います。

女性棋士になるための2つの道~奨励会とプロ編入試験~

里見女流6冠による女性棋士誕生の可能性について検討する前に、プロ棋士になるための2つのルートを簡単に紹介したいと思います。

奨励会ルート

棋士になるためのルートとして王道といえるのが将棋連盟が主催する「新進棋士奨励会」いわゆる「奨励会」を突破することです。

羽生九段や藤井聡太七段を始めとするトッププロは全員奨励会に在籍し、その中を勝ち上がることで実力を養い棋士となりました。

奨励会はアマチュア3、4段の実力があって初めて6級として入会できます。

そこから棋士になるための生き残りをかけた激しい戦いを潜り抜け3段まで上がって初めて、4段への昇段をかけて争われる3段リーグに参加できます。

年2回行われる3段リーグで2位以内(もしくは3位を2回)になることで初めて四段になり「プロ棋士」になれるのです。

ただし、奨励会に厳しい年齢制限があり、満23歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日までに四段に昇格できなければ強制退会となります。※ただし、ずっと勝ち越してれば30歳までは退会を引きのばせます

なお、里見女流6冠は2018年、満26歳の年齢制限を迎える62回奨励会三段リーグで負け越したことにより『勝ち越しによる在籍期間延長』が不可となり奨励会を退会することとなりました。

里見女流6冠は最後の三段リーグは711敗と大きく負け越しており、第58期から第62期まで5期参加した三段リーグでも一度も勝ち越すことが出来ませんでした。

女流棋界において絶対王者として君臨する里見女流6冠ですら勝ち越すことができないほど、奨励会3段リーグは厳しい世界であると言えると思います。

奨励会の厳しさやそれにかける奨励会員の思いを知りたいなら大崎善生著『将棋の子』が素晴らしい出来なので、是非ご一読されることをおススメします。

プロ編入制度ルート

奨励会を経由しないルートとしては、アマチュアや女流棋士からプロへ編入する「プロ編入制度」があります。

これはアマチュアや女流棋士が参加できるタイトル戦の予選や一般棋戦予選で棋士相手に直近の成績で10勝以上、勝率65分以上という規定を満たす好成績を収めたアマチュア棋士が、改めて編入試験で棋士相手に5局対局し、3勝できればプロ棋士に昇格できるという制度です。

里見女流6冠はこれまでに公式戦で通算54局棋士相手に戦い20勝34敗。

対局年月日 対局相手 対局結果 棋戦
9月20日 北浜健介八段 朝日杯 一次予選3回戦
9月11日 伊藤博文七段 王座戦 一次予選1回戦
8月27日 藤原直哉七段 王位戦 予選1回戦
8月19日 古森悠太四段 叡王戦 2回戦
8月18日 稲葉陽八段 NHK杯戦 本戦2回戦
8月8日 大橋貴洸五段 加古川清流戦 本戦2回戦
7月27日 黒田尭之四段 叡王戦 1回戦
7月21日 髙﨑一生六段 NHK杯戦 本戦1回戦
7月4日 畠山鎮七段 朝日杯 一次予選2回戦
7月4日 有森浩三七段 朝日杯 一次予選1回戦

直近10局では5勝5敗としていますが、ここ6戦で5敗とかなり苦戦しており、プロ編入試験への道のりはまた一からといったところでしょうか?

一時期2敗する前に2勝すれば良いというところまで迫っていただけにファン的には少し残念ですが、里見女流6冠が一層実力をつけてもう一度チャンスをつかむのを待ちたいですね。

なお、この制度を利用してプロ入りした棋士に「瀬川六段」や「今泉四段」がいます。

瀬川六段のプロ入りまでの軌跡は「泣き虫しょったんの奇跡」として本や映画にもなっていますね。

また今泉四段も非常にドラマティックな人生を歩んでいて、本にもなっているので、里見女流五冠のプロ編入試験にかける思いを想像する一助として、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

プロ編入試験の可能性は?里見女流6冠は試験を受けるのか?

プロ編入試験受験まであと一歩のとこりまで迫ったこともある度々里見香奈女流6冠ですが、8月11日に行われた『加古川青流戦 対大橋貴洸四段』との対局での敗戦直後のスポーツ報知のインタビューで以下のとおり答えています。

編入試験について「現時点では自分の中に意思はないので、考えてはいないです」と改めて思いを明かし、「今は、公式戦に女流棋士枠を作っていただいて、恵まれた環境の中で指させていただいていることが本当にありがたいと思っています」と感謝を述べた。

日本将棋連盟は今月7日、女流棋士が棋士編入試験に合格した場合、公式戦と女流公式戦の両方に参加することを可能とする新規定を発表。これについては「環境を整えていただき、配慮をしていただいた規定で大変ありたたいです」と述べた。

この発言から、現時点ではプロ編入試験について受ける意思は示していない事が分かります。

実際に資格を得たときに、里見女流6冠がどんな判断をくだすかが気になりますね。

里見女流六冠の直近の対局相手は

  • 日程未定:久保利明九段@王位戦予選

今後の対局相手はこのようになっています。

直近では敗戦が続いていますが、捌きのアーティストとも言われる振り飛車党の頂点、A級棋士久保九段との対局を通じて、今後の飛躍の契機として欲しい所です。

プロ編入試験の対局相手は?

日本将棋連盟によるプロ棋士編入のための試験規定によれば、プロ編入試験における棋士との5番勝負の試験官は新四段5名を棋士番号順に選出されます。

もし2019年10月前に編入試験の資格を得ていた場合、里見女流6冠と対局していたのは以下の5名。

  • 黒田尭之四段:115位(棋士レーティング@7月4日時点。以下順位はレーティングを示します)
  • 出口若武四段:87位
  • 山本博志四段:117位
  • 本田奎四段:66位
  • 池永天志四段:100位

直近にプロになった5名という事で、かなり運に左右される対局相手ですが、この時点でプロ編入試験を受けるとなった場合の5名の対局相手はかなり勝ち目があるメンバーと言えたかと思います。

里見女流6冠が棋士相手に連勝していた時の7戦の対棋士成績は対局が近い順から

  1. 黒田尭之四段:115位→勝利
  2. 畠山鎮七段:68勝利
  3. 有森浩三七段:136位 →勝利
  4. 大橋貴洸四段:20位 →敗戦
  5. 都成竜馬五段:38勝利
  6. 浦野真彦八段:149位 →勝利
  7. 出口若武四段:87位 →勝利

となっており、近試験官となる可能性もある出口四段だけでなく、若手有力棋士の都成五段や順位戦でB級1組に在籍する畠山鎮七段にも勝利しており、実績は十分。

比較的レーティングが低い現在の試験官5名相手であれば十分にプロ入りの可能性はあったでしょう。

例えば藤井聡太七段がプロ入りした直後にプロ編入試験を受けていた場合は

  • 大橋貴洸
  • 藤井聡太
  • 佐々木大地
  • 井出隼平
  • 都成竜馬

という絶望的なメンバーが相手になっていたわけで、そういう意味では里見女流6冠にとっては絶好のチャンスだと言える状況が整っていただけに、試験資格を得られなかったのは悔しいですね。

プロ入り編入試験を受けていた場合の勝敗予想

こちらは完全な個人的妄想なのでそれでも良いという方だけご覧いただきたいのですが

  • 黒田尭之四段:レーティング的に勝利の可能性十分あり→勝利(1勝)
  • 出口若武四段:直近で里見女流6冠が勝っている→勝利(2勝)
  • 山本博志四段:レーティング的に勝利の可能性十分あり→勝利(3勝)プロ入り確定!!
  • 本田奎四段:プロ入り後9勝1敗と絶好調で厳しい相手→敗戦(3勝1敗)
  • 池永天志四段:レーティング的に勝利の可能性十分あり→勝利(4勝1敗)

3勝すれば実際にはそのあとの対局はありませんが、4勝1敗ペースで行けると思うので、プロ編入試験を受けることさえできれば、史上初の女性棋士誕生が期待できると思います!!

まとめ

里見女流6冠女性棋士への道のり
  • 直近の連敗でプロ編入試験資格についてはまた一からのスタート
  • 編入試験では棋士相手に5戦して3勝すれば史上初の女性棋士に
  • レーティング的には資格を得れば3勝以上する可能性は十分
  • 史上初の女性棋士誕生に期待

プロ編入試験を受けるとなれば、里見女流6冠には将棋界のみならず、世間からの注目も集まり平常心を保つことも難しい状況になると思いますが、いつか史上初の女性棋士の誕生を見てみたいですね!!

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!

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それでは、また次の記事でお会いしましょう!