世の中には色々な趣味がありますが、大抵の趣味にはここまれくれば一人前という目安があります。
ゴルフでいえばスコア100切り、マラソンでいえば5時間切りのサブ5、そして空手や柔道、書道など段級位制を採用しているものでは『初段』。
将棋においても初心者の目標として『初段』になる!というものがあります。
将棋上達のための本のタイトルにも多く『初段を目指す』『初段になるためには』『初段になれる』という言葉が使われていることからも、一人前の目安として初段になりたいという需要が多いことが分かります。
そんな多くの人の目標である『初段』ですが、この記事では
初段になるまでに平均でどれ位の年数がかかるのか?
という素朴な疑問に対してお答えしたいと思います。
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初段になるまでの平均年数
平均で2年10ヶ月
114名へのアンケート結果から求められた、初段になるまでの平均的な期間は下表のとおり。
平均値 | 2年10か月 |
中央値 | 2年 |
※トリム平均(上下5%カット) | 2年7か月 |
上の図で示されるように、初段になるまでの平均期間は2年10ヶ月となります。
習い事として約3年通ってようやく初段が取れるというのは程よい難易度かと思われます。
一人前になるために5年も10年のかかるようなことでは、諦めて他の趣味を始めてしまいますし、数ヶ月や1年程度で初段になれるというのも『初段』の重みがなくなるので、比較的適切な難易度設定がなされていると言えるのではないでしょうか?
初段を獲得した場所による違い
ただ『初段』になったといってもどこで初段になったのかという疑問が残ります。
将棋連盟の道場なのか、ネット対局なのか、それとも認定問題なのか。当然場所により難易度が異なりますし、場所によってどれほどの差異があるかも気になるところです。
それを示したのが以下の表です。
場所 | 年数 | サンプル数 |
将棋会館・道場 | 2年11ヶ月 | 19名 |
将棋ウォーズ | 1年11ヶ月 | 53名 |
将棋倶楽部24 | 3年3ヶ月 | 12名 |
初段免状獲得戦 | 7年11ヶ月 | 3名 |
114名の中から抜粋しているので十分なサンプル数は取れていませんが、一定の傾向は見えてくるかと思います。
ネットなどでは将棋ウォーズは数ヶ月で初段が取れると言われていたりもしますが、他の指標に比べ簡単ではあるものの平均2年近くかかっていることがわかります。
私自身、将棋ウォーズでは1年11ヶ月で初段になっており、その時点で将棋連盟道場で1級の認定を受けているので、将棋ウォーズと連盟他道場との差が1年あるというのも納得がいくところです。
ただ将棋倶楽部24の初段は道場換算で3段と言われているので、3年3ヶ月という数値はむしろサンプルが少ないことで年数が短い形で偏りが出たと思われます。
初段免状獲得戦も同じく3段ないと初段免状の獲得が難しいと言われているので、こちらの約8年という数字の方が将棋倶楽部24で初段になるための時間に近いような気もします。
この辺りのサンプルの少なさによる数値のブレは今後の課題とさせて頂きます。
将棋を始めた年齢と初段到達までの年数
一般的に言われていることとして『若い方がすぐ実力が伸びる』『年を取ってから初めても初段になるのは難しい』という言説がありますが、それは真実でしょうか?
下のグラフをご覧ください。
縦軸が初段到達までの年数を月数で示したもの(年単位で実線)。
横軸が本格的に将棋を始めた年齢です。
そもそも30歳以上のサンプルが7名と非常に少ないので、中々論じ難いところはありますが、データ上は将棋を本格的に始めた年齢と初段到達までの年数には有意な相関関係はないことがわかります。
40台以上で始めた方のサンプルがなく申し訳ないのですが、少なくとも30代まではデータ上初段になるためのハンデはないと言えますので、将棋は年を取ってから始めても楽しめるゲームであると言えるのではないでしょうか?
※なお、若干の負の相関関係(年を取ってから本格的に始めた方が初段になりやすい傾向)が見られますが、これは『34歳で初めて29年間初段到達にかかった』という数値を異常値として表から削除しているためで、その数値があれば相関関係一切なしと言っていい数値となります。
居飛車・振り飛車・オールラウンダーによる違い
これはネタで調べただけなのですが、意外と参考になる数値だったので一応下表にまとめてみました。
得意戦型 | 初段到達までの年数 | サンプル数 |
居飛車 | 2年9か月 | 42名 |
振り飛車 | 2年8ヶ月 | 51名 |
オールラウンダー | 1年3ヶ月 | 12名 |
回答なし | 1年7か月 | 9名 |
トリム平均(上下5%をカット)での年数ですが面白い傾向ですね。
居飛車、振り飛車に有意な差がないのは分かります。
『初段になるためには覚えることが少ない振り飛車が有利』という論調もありますが、このデータを見る限り気にする必要はないでしょう。
オールラウンダー、回答なしはサンプル数が少ないため参考にしにくいですが、相手に合わせて戦型を変えられるオールラウンダーは確かに得意戦型が分かりやすいネット将棋などでは有利かもしれませんね。
アンケートの概要
調査手法
Twitter上で実施した企画「#将棋初段になるまでの期間等を書くとデータベース化」の結果を集計。
実施時期
2019年3月9日~3月24日
調査対象
私のTwitterアカウント@misojinndayoのフォロワー約4,300人とリツイートによる拡散を見て参加した方々。
まとめ
皆さんいかがだったでしょうか?
自分の実感と数値が大きく異なる、逆に想定していた年数に近かった等いろいろなご意見があるかと思います。
本調査はあくまでTwitter上で一個人行ったものですので、参考までにご覧いただければと思いますが、本日のまとめとしては
- 初段になるための年数は『平均:2年10ヶ月』『中央値:2年』
- 将棋ウォーズでは『1年11ヶ月』
- 将棋会館・道場では『2年11ヶ月』
- 居飛車・振り飛車間で有利不利は見られない
このようなところでしょうか。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
それでは次の記事『将棋棋士の実力を知るには②~レーティングから見るタイトル、順位戦、竜王戦~』でお会いしましょう!