こんにちは味噌人です。
今日は先日ブログでも取りあげた『将棋大賞』と『詰将棋解答選手権』について結果を見ながら感想戦をしていきたいと思います。
予想通りの結果もあれば、全く想像もつかない出来事もあり、中々興味深い事となりましたので、是非ご覧ください。
第46回将棋大賞 結果まとめ
結果一覧
【最優秀棋士賞】豊島将之二冠(初)
【優秀棋士賞】渡辺明二冠(6回目)
【敢闘賞】広瀬章人竜王(2回目)
【新人賞】大橋貴洸四段(初)
【特別賞】受賞者なし
【最優秀女流棋士賞】里見香奈女流四冠
【優秀女流棋士賞】渡部愛女流王位
【東京将棋記者会賞】伊藤果八段
【升田幸三賞】藤井聡太七段(7七飛成)@竜王戦5組決勝:藤井聡太七段VS石田直裕五段)
【升田幸三賞特別賞】丸山忠久九段(一手損角換わりをはじめとした角換わりの研究)
【名局賞】名人戦第一局:佐藤天彦名人VS羽生善治竜王
【女流名局賞】女流王位戦五番勝負:里見香奈女流王位VS渡部愛女流二段
【名局賞特別賞】女流名人リーグ:渡部愛女流二段VS上田初美女流四段
【最多対局賞】広瀬章人竜王:64対局(初)
【最多勝利賞】佐々木大地五段:46勝(初)
【勝率1位賞】藤井聡太七段:45勝8敗 0.849(2年連続2回目)
【連勝賞】渡辺明二冠:15連勝(初)
【女流最多対局賞】伊藤沙恵女流二段: 36局(2年連続2回目)
各賞に関する感想
最優秀棋士賞
豊島二冠の受賞は予想だったのでこれは納得ですね。
先週の竜王戦1組の直接対決で渡辺二冠に負け、今年度2戦2敗なのが印象的にどうかな?とも思いましたが、名人挑戦と初受賞優先の流れで無事初戴冠となりました。
優秀棋士賞&敢闘賞
渡辺明二冠の優秀棋士賞受賞も予想通りでしたが、広瀬竜王とのダブル受賞はなりませんでしたね…。
前例があるとはいえ、序列1位の広瀬竜王が敢闘賞となったのは少し意外です。
選考委員としては敢闘賞という字面に左右されずあくまで1,2,3位をそれぞれ選ぶという考えかと思います。
これは私の見通しが読みが甘かったですね、反省です。
特別賞
受賞者なしで安心しました。
ひょっとしたら話題優先で藤井聡太七段や羽生九段の受賞もあり得るかな?とも思いましたが、もし受賞していたらアンチ活動に熱心な方々に絶好の餌を与えるようなもの。
選考委員の方々の冷静な判断は私的にも納得のいくところです。
まぁ、他の部門で特大の餌がバラまかれたような気もしますが、それはまた後から触れます。
新人賞
大橋四段の受賞はノーマークでした(*_*)
もちろん例年であれば大本命だと思うのですが、今年はタイトルを獲得した高見叡王や最多勝の佐々木大地四段、B級2組昇級し各棋戦でも本戦常連となっている近藤誠也五段がいたので、新人棋戦優勝が主な実績である大橋四段は少し足りないのではないかなと考えていました。
ただ、客観的に実績を見ると新人棋戦二冠の大看板は強かったですね。
高見叡王は年齢的なものはともかく、棋士になってからの年数が長く、またタイトルホルダーという事で新人感が欠けていたのが受賞を逃した要因ですかね。
少しかわいそうな気もしますが、上記にあげた誰が獲得しても納得の成績だったので、その辺りは運の差だったということでしょう。
最優秀女流棋士賞&優秀女流棋士賞
里美四冠と渡部女流王位の受賞も極めて妥当ですね。
2018年度はこの2人を中心に女流棋界が動いていたのは間違いないです。
やはり絶対王者を倒しての戴冠というのは絵になりますね。
今年の女流王位はお互い立場を変えての一戦。今から楽しみです。
東京将棋記者会賞
伊藤は伊藤でも乃木坂46の伊藤かりんさんではなく、詰将棋作家としても有名な伊藤果八段の受賞となりました。
この辺りの大御所の先生方は将棋界への功績抜群ですし、受賞に異がある人はいないでしょう。
何故今年の受賞か?という疑問も、年1人しか表彰できないため順番待ちがたくさんいるというだけでしょうしね。
この賞の予想は困難ですね(*_*)
升田幸三賞特別賞
丸山九段の一手損角換わりが受賞。
これも順番待ち状態だったと思うので「なるほど」といった感じです。
ソフト全盛の現代棋界において、全盛期はもちろん今でも十分にトップ戦線で通用する研究を続けられていますし、選考委員の方の優れた見識がうかがえます。
なお、升田幸三賞は別立てで感想を言います。
名局賞&女流名局賞&名局賞特別賞
名局賞は大方の予想通り名人戦第一局が受賞となりました。
これは文句なしでしょう。
初日からひりつくような序盤戦となり、解説陣もうなる難解な中盤戦を経てのギリギリの終盤戦。
まさに序盤・中盤・終盤隙の無い名局でした。
女流名局賞も納得ですね。
これはどれか一局というより、番勝負全体を通したドラマ性の高さが評価されたものと感じています。
奨励会退会の影響からか精彩を欠く里美四冠の精神的な間隙を縫うように攻め立て、終始積極的だった渡部女流王位の姿勢が印象的でした。
名局賞特別賞は…すいません、将棋連盟Liveで中継されているものは全て目を通しているのですが、記憶から漏れているのでもう一度勉強しなおしてきます…。
最多対局賞・最多勝利賞・勝率1位賞・連勝賞・女流最多対局賞
こちらも最後に銀河戦?と思われる対局結果が上乗せされて色々と修正がありましたね。
最多勝利賞の佐々木大地四段は今年度一番ブレイクした若手と言っても過言ではないと思います。各種棋戦でも結果を残していますし、そろそろ勲章が欲しい所ですね。
藤井聡太七段は最高勝率更新ホントに惜しかったですね。
最後の最後で結果的に最高勝率更新とB級2組昇級を止めた近藤五段には今後藤井聡太七段の良いライバルになってほしいです。
升田幸三賞について
今回の将棋大賞で一番物議を呼んだのは間違いなく『藤井聡太七段の升田幸三賞受賞』でしょう。
個人的にはこの受賞は疑問です。
これまでに3つの前例がある『妙手』に対する受賞。
その中でも中・終盤の一手に対する受賞という意味では第31回の谷川九段の例があるので『藤井聡太七段の受賞は絶対おかしい!』という訳ではないのですが、名局特別賞で十分にその凄さは伝えられたと思います。
わざわざ候補が多い升田幸三賞で表彰しなくても…と感じるんですよね。
特に今年は『雁木』『elmo囲い』『三間飛車藤井システム』『トマホーク』と例年になく旬な候補が多く、将棋ファンも何が受賞するか注目していたのではないでしょうか?
そんな中、前例の少ない『妙手』での受賞。
しかも、丸山九段の長年の定跡進歩に対する功績を特別賞に追いやっての本賞受賞。
藤井聡太七段はその圧倒的な実績と若さ、才能からただでさえやっかみや熱心なアンチが多いので、藤井七段を叩くための口実を与えるような受賞は控えてほしかったというのが正直な気持ちです。
案の定ネット界隈では忖度による受賞、話題優先でねじこんだと一斉にアンチ活動が始まっています。
その実績や将棋の内容だけで十分に凄みを伝えられる藤井聡太七段だからこそ、奇をてらわず誰もが納得する形での受賞として欲しかった…。
これがまとめとなりますかね…他は凄く良かったと思うだけにココだけが残念でした(*_*)
将棋界は藤井聡太七段をもっと大事にしてほしいというか、将棋を離れれば多感な高校生なのですから、心労の原因となるような火種を積極的につくるような事は避けてほしいという感想をもって、将棋大賞部門は終わりとします。
詰将棋解答選手権チャンピオン戦 結果まとめ
祝!藤井聡太七段5連覇!!
上位陣の結果をまとめるとこのような形になります
順位 | 名前 | 点数 |
1位 | 藤井聡太七段 | 98.5点 |
2位 | 斎藤慎太郎王座 | 96点 |
3位 | 宮田敦史七段 | 90点 |
4位 | 山田康平アマ | 83点 |
5位 | 折田翔吾アマ | 82点 |
12位 | 行方尚史八段 | 74点 |
20位 | 西山朋佳女王 | 70.5点 |
24位 | 広瀬章人竜王 | 65点 |
前半ラウンドで誤記による減点があったそうですが、結果的には大逆転で優勝を果たした藤井聡太七段。
並居るタイトルホルダーや強豪プロ、トップアマを抑えての5連覇はまさ将棋史に燦然と偉業と言えるでしょう!!
惜しかったのは斎藤慎太郎王座。3回目の優勝まであと一歩でしたね。
詰将棋回答選手権を『唯一合法的に詰将棋だけをやっていい日』と位置付ける棋界随一の詰将棋愛を持つ斎藤慎太郎王座。
いつかチャンピオンの座を奪還してほしいですね。
他には現在銀河戦での連勝で話題の折田アマが5位。プロへの編入も期待されていますし、勢いを感じます。
また西山女王が広瀬竜王を抑えての20位と健闘していますね。
広瀬竜王は残念な結果に。来年の奮起を期待します!!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
コメントなど頂けましたら幸いです。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!